060turboの改修作業➀

Repair

2011年くらいにITL版060turboを修理(というか部品のハンダ付けから)したことがきっかけで、同じ症状に悩んでいる方がいるということで改修作業を受けることになりました。

その後三台程度改修させていただきましたがいずれも無事改修できています。
全く起動できないというのであれば別に問題を抱えている可能性がありますが、スタラカOFFで動くのであればispLSIの交換でほぼ改修できるのではないかと思いますが、思いもしない現象も見られ要経過観察なケースもあります。ここは面白いところです(苦笑

今回は最初にご依頼いただいた時の事を記事にしますが、これも2011年4月に旧サイトに掲載したものです。2016年にサイト移転、再掲載しています。
2011年の4月といえば福島県の原発事故で日本中が大変な時期でしたね。

送られてきた060turboの症状を確認

当方で受け付けさせていただきました060turbo改修作業のレポートです。
結果的に改修OKでしたがおかしな現象に苦労しました。

送っていただいたのは060turbo(ITL製)のみです。
030本体はメンテ中ということで当方の本体で動作確認することとしました。

さっそく動作確認です。030本体はスタカラOFF設定です。問題なく起動します。

おぉ・・・・ゴミを再現。IPL/IOCSのSと1998-03-18の1に青いゴミがでていますね。
このごみはリセットの度場所を変えます。

ファンクションバーのゴミも再現。これこれ。見事に青線が走っていますね。

テキスト表示時のゴミも再現。順調です(ナニガ

HELLHOUNDでのゴミが凄いらしい・・・

どうも「HELLHOUND」というゲームでゴミが凄いということでした。サーチレーザーにテキストを使用しているらしく不具合の影響を受けているのだろうと。試してみましたら以下の通り・・・。

タイトルでは特に目立ちませんが・・・・

ゲームを進めますと・・・
おや?

うぬぅぅぅ・・・・

ぐおぉぉぉぉ・・・。これじゃゲームになりませんw

不具合再現バッチリです。
僕が組み立てた060turboと全く症状が同じです。
以下、同様の手順でデバイスの張替えを行います。

改修作業を開始する

することは決まっていますのでさっさとispLSIを剥がします。 満開版と同グレードの物と交換します。

終了です。洗浄前ですのでヤニが汚いですが動作に問題ないでしょう。

ロジックを書き込んで動作テストです。MPUはXC68060RC50も一緒にお預かりしているのですが、壊すと泣きを見るので当方所有のEC品、68EC060RC75を使いました。

鬼のように出ていたサーチレーザーの残りカスが出なくなっています。
これぞ本来の姿です。

・・・・で、ここからが地獄でした。
やはり一筋縄ではいかないな・・・と思い知らされました。

MPUを戻したらゴミがでたぁ(TдT)

いつまでもEC060で動作テストしてもしょうがないので、本来の060に戻してテストしました。
これで12時間くらい問題なく動いていればOKとし、発送する予定でした。

ところが、テスト開始してしばらくすると見えてはいけないものが見えてしまいました。

懐かしいというか、腹立たしいというか・・・。もう、はぁ? ですよ。
数は少ないながらも、そこにはきっちりとサーチレーザーのゴミが出ていました。

ispGALがアッチッチ

GALって言っても女の子じゃないです(当たり前

このゴミ。最初はでないんです。出なかったんですよ。
で、時間がたつと出てくるって事は ”熱か?” と思いました。

実際、扇風機の風をガンガン当てたら面白いようにゴミが消えていきました。

そこで、ちょうど電気工事で使う予定だったオムロンの温調器があったので測ってみました。
K熱伝対のそれ程精度の良い物ではないですが・・・。

壊すと怖いので、MPUをEC060に戻して測定・・・。

ispGALが熱いなと思ったら62℃から63℃ありました。放熱板つけて、です。
こりゃ、ちょっと熱すぎませんかね・・・・。どうなんでしょ?

またこのあと気がついたのですが、MPUの電圧を調整する半固定抵抗がずれていて、4V弱を出していました。

・・・・・(‘A`)

3.3VのMPUに4Vって。カツ入れすぎでしょ。
触った覚えはないので、元からこの状態だったか、もしくは経年で変化したかのどちらかでしょう。
取り付けは業者の方が行われたとのことですので当初は正常値だったのでしょうけど。
個人的には3.3V固定型のレギュレーターを使うべきだと思います。

3.3Vに戻して・・・・。
このまま熱いのを放置するわけにはいかないのでFANをつけました。

12VFANの電源をそこから取っていいの?

いや、本当じゃないんですけどね。ただ、5Vでもそこそこの風はでますし12Vだと結構な振動がするFANなのです。68060の上であまりブルブルされても・・・なのでちょうど良いと思いました。

ただ、インターフェイスソケットからの給電なので電源ラインの強化ってことでOSコンを100uFにアップしました。

どうも68060の冷却が効いたみたい

68060を冷やすついでにispGALも冷えればいいな、という事で、ブロア型のFANを使ったのですが、これはこれで正解だったようです。

FANを付けても蓋を閉じるとispGALは相変わらず60℃近くなりますがゴミはでなくなりました。
試しにFANをとめると発熱に伴いゴミが参上してきます。

実は、060turboを半基板から組み立てたときに、開発に携わった方より次のような助言を頂いていました。

それは

「MMUの動作が怪しい場合にもゴミが出ることがあります」

というものでした。

これは当時、私が本来MMUとFPUが無いはずの ”EC060を使ってます” と相談したため、「ECであることがゴミが出る原因かもしれませんね」 とご回答頂いたものなのですが、今回のこの症状はもしかしたらこのMMUに問題があるケースに当たるのかもしれません。
(※私が所有しているのは、ECのくせにMMUが入っているという、いわゆる当たりのECってやつですが、MMUの動作が保証できないのでLC相当品だけどECとして出荷した68060かもしれません。憶測ですが)

結局その時はispLSIに問題があったのですが、今回のこのゴミはどうも68060にも問題があるようです。挙動からみると熱に弱い68060なのかもしれません。フルスペック68060なのに残念だなぁ。

蓋を閉じてのテストです↓
ispGALが58℃ってのがなぁ・・・。本当はもっと落としたいところですが。(本当はFANの付近に吸気用の穴を開けたほうが良いような気がします。そうすればもっと落ちるでしょう)

この通り、テキストにも問題ありません。

当然ですがキャッシュも有効になっています。

この後、12時間以上テストして問題がない事を確認した上で所有者の元へ発送させていただきました。到着後本体に組み込み、スタカラONで動作に問題がないとのご報告を頂き大変喜んでおられました。7・8年、調子悪い状態で使われていて改善はほとんどあきらめていたとの事でした。

・・・・にしても、 
060turboは、本当に絶妙なところで動いているんだろうなとあらためて思いました。
もちろん、全然そうではなくて、私が体験した事は素人が手を出したがゆえに引き起こした幻なのかもしれません。

実際に僕が組み立てた物と、製品として出荷されたこの060turboでは、同じようにispLSIを張り替えても挙動が微妙に違ってました。

もしかしたら060turboに問題があるのではなくて、X68030の個体差や68060の状態等が絡み合ってこのようになるのかもしれません。
特に電源と各基板のコンデンサのほぼ全てが経年で液漏れするX68030は製造時と経年時とではコンディションが大きく異なるでしょうから余計に影響を受けるでしょう。

コンデンサを交換したとして、普通はそこで動けば良しとするわけで、ここで測定器あてて波形観測とまではできないわけですから。そこに060turbo装着となると色々出てくるのは仕方がないのかもしれませんね。

・・・・・そこの辺りで、この後受けた060turbo改修はさらに大変だったんですけど。

それにしても、HELLHOUNDさまさまですね。作者さんにお礼が言いたいくらいです。
※ありがたいことに一度HellHoundの作者様からメールを頂いたことがあります。しかしメールを紛失してしまいお返事できないままに・・・。なんてこったい。
本当に助かりましたm(__)m(2025/10/19)

寝言:・・・・やっぱり満開版を一枚持っておくべきですねー。見本がないと比較のしようがないというか・・・。

コメント

タイトルとURLをコピーしました